変わる彼

私たちが出会ってから、彼はどんどん変わっていった。初めは先輩や周りから色々言われたり、いきなり待ち伏せされ喧嘩を売られたりハラハラする事ばかりだった。反社会勢力との繋がりがあった彼は中卒だったが、ろくに仕事もせず、ご両親も半ば諦めていたのかもしれない。彼の家は船を所有して漁にでる、いわゆる漁師の家系だった。本来なら、つがなければならなかったがご両親を困らせてばかりいた。そんな彼は私に「俺、これからは真面目に働くよ。かたぎになる。」と言って家の仕事を手伝うようになった。1〜2週間、仕事で帰らないこともあったが、夜は必ず公衆電話から電話をかけてきてくれた。私は嬉しくてたまらなかった。